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2011年8月11日
ソーシャルメディアとCSR
<s_003>芝原 亜季

イギリスで発生した暴動が激しさを増し、社会を一気に不安に陥れています。今回の暴動の発端は、黒人男性が警察に射殺されたことへの抗議だとのことですが、メディアでも伝えられているように、すでに暴動はその政治性を失って、単なる暴徒による略奪や破壊行為になっているとのことです。

 

少し前のことになりますが、エジプトでも大統領を辞任に追い込んだ大規模な反政府デモが展開されました。その後、反政府デモの動きは、レバノンやシリアなどの中東諸国に波及し、各国の政治・経済に大きな影響を与えました。



また内容は異なるものの、先月の中国温州での高速鉄道事故の際には、報道規制や言論統制などが実行されている中国においても、政府批判や事故の原因究明を求める世論が形成されました。これは、中国の政治体制において、大きなターニングポイントになったとも言われています。

 

これらの一連の出来事に共通するのは、ソーシャルメディアの役回りです。

 

イギリスの暴動では、ブラックベリーが暴徒たちの集合場所や略奪先の情報共有に利用されているとのことで、中東での一連の反政府デモでは、ボーダフォンなどが提供するSNSサービスやフェイスブックが、デモの拡大に活用されたとのことです。また、中国の鉄道事故の際には、中国で約2億人が利用しているという微博(ウェイボー)という中国版ツイッターのようなサービスが世論形成に大きな役割を果たしているとのことです。

 

このように見てみると、ソーシャルメディアは、一国の政治体制やその社会全体までをも揺るがすパワーを持っていると言うことができそうです。ソーシャルメディアによって人々がつながり、情報を共有し、議論が起こり、世論が作られ、行動が形作られる・・・。そしてそれが、非常に短期間の間に実現できるのも特徴です。

 

こうしたソーシャルメディアのサービス提供に、直接的・間接的に関わる企業の社会的責任(CSR)は一体どう認識されるべきなのでしょうか?良い/悪いではなく、非常に強い社会性を帯びつつあるのは間違いありません。

 

「単に通信媒体を提供しているだけ」や「通信機器を販売しているだけ」で、「その使われ方や内容には責任を持ちません」では通用しない時代となっています。今後、こうした企業の社会的責任=CSRがどのように果たされるのかにも注目していきたいと思います。

 

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